“The beginning placce yama”
- Miho Morita
- 5月25日
- 読了時間: 2分
序章

この場所を初めにみたのはいつだっただろうか
ガジュマルが入り口を塞ぎ、どこが入り口かさえもわからない
おじさんが住んでいるのは知っていた
ちょっと、気むずかしくて声を掛けても目を逸らされた
私は数年前に介護の仕事もしていて、
そんなある台風の前の日、“◯◯さんち、行ける~?”と上司から連絡があった
そのおじさんのお宅で、今のここ
少しガジュマルの枝がカットされて入り口が見えたお家は広々としていて
窓からは植わっている木々に加えて、たくさんの鉢植えが庭に飾られていた
リビングダイニングには、そんな庭を眺められるようなゆったりとしたソファが置かれていた
初めの印象がそんなにだったので、お会いするのは少し緊張した
だけど、前に会ったときより、はるかにお痩せになっていてびっくりしてしまった
それから、1ヶ月ほど毎日朝昼晩と数名で交代でお世話をさせてもらった
不謹慎なことを言ってるかもしれないけど、初めて死ぬ間際の方と接したかもしれない
ひとは最後は生きることを諦めない
もう少し生きていたいと思っているような気がした
大好きなアイスをひと口でも食べていたい
光を感じていたい、鼓動を感じていたいと
そう思っているようにみえた
お家にお邪魔する前に、おとなりのフイナオンで手を合わせる
少しでも苦しくないように、と願った
こればかりは本人にしかわからない
たくさんの管で繋がれて、生きているのか死んでいるのかわからないよりも
自分の好きな場所で静かに孤独を全うするのも、彼らしいと思ったんだ
そんなここでの始まりの始まり
